VOICE
2021.04.12
美味しいパンのある暮らしを届ける。地域に根差した神田川ベーカリー

「自分がほしいものは、自分で作っちゃおうと思って。」と、軽やかに笑う嶋田玲子さん。神田川からほど近く、雑司ヶ谷と早稲田の間にある住宅街で「神田川ベーカリー」というパン屋さんを営まれています。焼きたてのパンの香りに引き寄せられて、いつもお店の前にはオープン前から列が。そんな神田川ベーカリーがどのように生まれたのか、お話を伺いました。

 

美味しいパンとコーヒー1杯がある幸せなまちに

―神田川ベーカリーを始めたきっかけを教えてください。

嶋田さん:きっかけはとてもシンプルだったんです。もともとこの物件は、旦那さんが借地権を持っていたので、2、3階をシェアハウスとして貸そうと話していて。そうしたら折角なら1階は、まちにひらかれた場にしたいねと、パン屋さんを始めることに決めました。

―昔から「パン屋さんをやろう!」と考えていた訳ではなかったんですね。

嶋田さん:そうなんです。私自身、雑司ヶ谷に10年以上住んでいたので、折角なら自分がまちにほしいものを作りたいと思ったのがきっかけでした。自分がほしいものは、きっと他にもほしい人がいるんじゃないかと思って。

― パンづくりのご経験は?

嶋田さん:全くの素人です(笑)。最初は、パンを作るのも、パン屋さんを作るのも、どうしたらよいかわからなくて(笑)。

そこで、鳥取でパン屋さんを営んでいる知り合いにお願いして、オーブンなどの設備やその配置を教えてもらいながら店舗をつくりました。製造方法もその人に教えてもらって。1か月くらい必死に修行したんですよ。

― 神田川ベーカリーのパンはとても美味しいですよね。どのようなこだわりをもって、パンを作られているのですか?

嶋田さん:まず第一に「安心安全」であることは、当たり前のこととして守りたいと思っています。お店には、本当に体のことを考えたパンを並べていますね。添加物は一切使わず、素材もできるかぎり無農薬なものを選定しています。

「自分がまちにほしいものを作る」という出発点からできたお店なので、「自分が食べたいパンづくり」にはこだわっていますね。

スパイスやドライフルーツもこだわると、その分、パンの価格帯は必ずしも安くなりません。神田川ベーカリーに来てくださるお客さんは、その点も理解して買ってくださっている印象があります。

私自身は、美味しいパン1個と、コーヒー1杯があれば「あ~、幸せ!」って思えるタイプなんですよ。そんな暮らしの小さな幸せに貢献できたらと思います。

 

 

赤ちゃんがいても、わんちゃんがいても、ふらっと立ち寄れるパン屋さん

― 神田川ベーカリーは、対面カウンター式のお店のつくりも特徴的ですよね。お客さんがショーケースからパンを選び、スタッフさんがカウンター越しに渡してくれるのが新鮮で印象的です。

嶋田さん:それ、よく言われるのですが、物件の規模が小さいので、普通のパン屋さんのように、お客様がトレーとトングをもって店内を歩けるスタイルはできなかったんですよ。(笑)

広さの問題で仕方のないことだったけれど、お店をオープンしてみると、意外と良い面もありました。

店内に入らなくていいので、犬のお散歩途中にふらっと来てくれる方や、ベビーカーを押している方も、気軽にお店に立ち寄っていただけるのは嬉しいです。雑司ヶ谷はファミリーも多いので、小さなお子さんの手をひいて来てくださると、私たちの心も温まるんです。

 

 

目の届く範囲で、育てていく

―美味しいパンと、それを楽しむ暮らし。自分がほしいものをまちに提案してきた嶋田さんの今後の展開が気になります。

嶋田さん:まだ内緒なんですが、実はもうひとつ、同じくらいの規模でお店を増やしてもいいかなと考えていて。

―2店舗目!

嶋田さん:はい。昨年、新型コロナウイルスの影響によって、世の中の様々なことが停滞していました。そんな中、神田川ベーカリーは、お客さんだけでなく、働いてくれているスタッフさんも大半が近所の方だったこともあって、歩いてきてくれたり、自転車で来てくれたりして。コロナ禍でも小さな循環の輪が、ちゃんと回りつづけているのを感じることができたんです。

そういう、小さな ‟輪っか” を増やしていけたらいいな、と思って。私はこのまちが好きだし、目の届く範囲で育てていきたいので、今は神田川沿いか都電沿いで物件を探しています。

 

 

パンの焼けるいい香りの中で進められたインタビュー。嶋田さんにお話しを伺っている間にも、続々とお客様がパンを買っていかれました。対面式なので、お客様がパンを選ぶ様子がとてもよく見えます。顔を見ながら定番化させるメニューや、季節の商品を考えられるのも良い点とのこと。
実は嶋田玲子さんは、らいおん建築事務所代表嶋田のパートナー。神田川ベーカリーの上の階が、らいおんのオフィスになっていますので、お近くにいらっしゃる際は是非遊びにきてください。これからも地域の中で成長していく神田川ベーカリーが楽しみです!

 

神田川ベーカリー
東京都豊島区高田1-11-14
営業日時:水〜日曜日、11:00 – 18:00
tel:070-6971-0731

 

photo by megumi tange, text by Hanako Koga, edited by Motomi Matsumoto