2022.05.16
VOICE
子どもの ”生きる力” に共感する、スポーツジムから生まれた溝の口保育園

「朝来て、子どもたちが、今日一日自分が何をするのか、自分で決められる保育園を作りたかったんです。」と、新しい視点から保育園のあり方を語る中嶋雄一郎さん。「子育てする」のではなく、ひとりひとりの人間の “生きる” に共感する ”LIFE SCHOOL” として、元々スポーツジムだった場所をリノベーションし、2021年4月に誕生したLIFESCHOOL溝ノ口。社会福祉法人つぼみ会 理事長の中嶋雄一郎さんにお話しを伺いました。

 

スポーツジムと保育園は一緒!?
リノベーション視点で見ると、空間は可能性に満ちている

– どのような経緯で、LIFESCHOOL溝ノ口をつくられたのでしょうか。

中嶋さん:溝の口で物件を見つけたのが、新型コロナウイルスが拡大していく前ですね。

嶋田:もともとスポーツジムだったんですよね。あの物件を見つけたのは、ジムが廃業した後ですか?

中嶋さん:廃業前ですね。恐らくコロナの影響で、お客様が減っていたのだと思います。

嶋田:物件を拝見したときに、いわゆるスポーツジムなのですが、ほとんど保育所と同じだと思ったんですよね。

沢山の下駄箱があって、廊下には、沢山のロッカーが並び、幾つかのシャワー室が並んでいる。

 

そこには、一度に多くの人たちが活動するための空間が広がっていて、もしかしたら保育所とスポーツジムは、とても似ているのかもしれないと感じましたね。

また、翌年の4月には保育園をオープンさせないといけない工期もあり、リノベーションの観点で、使えるものは使うという考えでした。

中嶋さん:ビルで、保育園を運営するのは初めてのことだったのですが、今までに見たことのない保育園ができると思うと楽しみでしたね。

どもたちは、大人たちよりも、適応能力がありますので。

 

自主性を第一に考えた保育園をつくりたかった

ー 社会福祉法人つぼみ会さんが大切にされている考え方とは、どういうものでしょうか。

中嶋さん:私たちが一番大切にしているのは、子どもたちが自由に遊べる時間を最大限に確保するということです。子どもの自主性を育めるよう、日々の日課を組んでいます。

嶋田:つぼみ会さんの保育園では、3歳から5歳が、一緒に遊んでいるのが衝撃的でした。

中嶋さん:はい、3歳以上は異年齢でクラスを作っています。発達段階に合わせて、子どもたちが交流できることを考えています。

年齢でクラスを分けると、4月生まれの子と、早生まれの3月生まれの子の月齢の差をずっと引きずってしまいます。

従来の枠組みに捉われず、3歳でも発達が早い子ならば、5歳の子と一緒に遊ぶことができるのが大切なことだと考えています。

嶋田:なるほど。

中嶋さん:しかも、朝来たら、今日一日、自分で何をしたいのか、何をするのかを考えて過ごしてもらいます。先生が、固定化したプログラムを用意していないんですね。

嶋田:僕が小さい頃は、先生が、今日はお絵描きをしましょうとか、お昼寝の時間は必ずお昼寝をしなさいと言われたのですが、そうではないのですか?

中嶋さん:はい。子どもたちの自主性を第一にしていますね。

 

掛け合わせれば、今までに見たことのない価値が生まれる

– 完成してみていかがですか?

中嶋さん:いちから保育園をつくる時にはない、面白さがありますね。

嶋田:そうですね。元々プールだったところが、ガラスの温室のようになっていて、陽が燦々と降り注ぐ保育園は、溝の口保育園の特徴になったと思います。

中嶋さん:おかげさまで、保育士さんの空気感も、とても明るいです。

嶋田:スポーツジムって汗を流す場所という、少しジメッとしたイメージがありました。

スポーツジムから保育園に転換するにあたって、新しくつくるところや床は明るくして、カラッと乾いた感じの空間にしたいという意識がありました。

中嶋さん:天井の高さや自然光を生かして、明るくて広い、開放的な印象の保育園になりました。

– 最後に一言お願いいたします。

中嶋さん:嶋田さんとはお互いに良い影響を与えあった仕事になったと感じましたね。

嶋田:中嶋さんとはすごく年が近いということもあって。中嶋さんが考える、保育とベンチャーという掛け合わせに、沢山の刺激をいただきました。

幼児教育にベンチャーだからこその新しい考え方を吹き込む中嶋さんの経営に触れ、僕も勉強させていただきました。

−  本日はお時間をいただきまして、ありがとうございました。

社会福祉法人つぼみ会

LIFE SCHOOL 溝ノ口保育園

 

photo by Megumi Tange, text by Motomi Matsumoto